超トレンド!Dual Energy CTの撮影方式5つをわかりやすく解説

CTを学ぶ

最近のオンライン勉強会でのトレンドといえば「Dual Energy CT」「低電圧CT」「Photon Counting CT」ですが、あまりよくわかんないという技師も多いでしょう。

特にDual Energy CTは導入している施設も増えており波に乗っている装置ですが、実は5種類あるって知っていましたか?

あまりにも勉強会でDual Energy CTについて講演しているので、令和を生きる技師が知らないなんてちょっと(いやだいぶ)恥ずかしいので、この記事で初心者にもわかりやすくお伝えします。

この記事を読めばDual Energy CTの撮影方式がわかる!

Dual Energy CTとは

Dual Energy CTはDual(ふたつの)、Energy(エネルギー)ということで2種類のエネルギー情報のCTです。

通常のCT画像は120kVの固定管電圧で0~120keVのエネルギー情報をもっていますが、それぞれのエネルギーを分離することができないため単色X線相当の画像となります。エネルギー情報がすべて積算されてしまうんですね。

そこで異なる2種類のエネルギーのX線を用いて、仮想的にそれぞれのエネルギーレベルの単色X線を作るのがDual Energy CTです。

なお、この記事では高管電圧を140kV、低管電圧を80kVとしてお話します。

Dual Energy CTの撮影方式

ひとことでDual Energy CTといっても撮影方式がメーカーや型式によって異なり、以下の5つに大別されます。

① 2管球(dual Xray source)方式

② 高速スイッチング(rapid kV switching)方式

③ 分割(split filter)方式

④ 連続2回転(sequential scan)方式

⑤ 2層検出器(dual layer detector)方式

それぞれの概要と長所&短所を説明します。

① 2管球(dual Xray source)方式とは

Dual energy CT入門③ – ゆるゆる独学 (hatenablog.jp)

ガントリ内に管球が90度離れて2つ備わっており、1つが80kVでもうひとつが140kVというように低管電圧と高管電圧に分けられ、1回転で2つのエネルギー画像の撮影が可能です。

シーメンスのSOMATOMがコレだよ

2管球(dual Xray source)方式 のメリット

2管球で撮影しているのが特徴なので、

エネルギー分離がよい

管電圧、管電流を独立制御できる

・(④連続2回転方式と比べて)撮影時間が短い

2管球(dual Xray source)方式 のデメリット

コストが高い!

なんたって管球2つ入れてるからね…

・140kVの画像と80kVの画像で投影データにズレがある

2つの管球が90度離れてるからね…

散乱線によるアーチファクトが生じる

2種類のX線を同時に出してるからね…

② 高速スイッチング(rapid kV switching)方式 とは

Dual energy CT入門③ – ゆるゆる独学 (hatenablog.jp)

高速スイッチング方式とは、1つの管球をめっちゃ早く140kV!→80kV!→140kV!→80kV!と切り替えて回転させる方式です。

GEのDiscovery CT750 HDがコレだよ

高速スイッチング(rapid kV switching)方式 のメリット

・1管球だから2管球使う方式よりは安い

・140kVと80kVの投影データのズレが限りなく少ない

高速スイッチング(rapid kV switching)方式 のデメリット

エネルギー分離が悪い

電圧を切り替える=波のように変化する から安定性が悪いのは仕方ないね

・140kVと80kVで管電流値を変えられない

ほんとはノイズを減らすために80kVで電流値を上げたいところだけど、

80kVと140kVでは電流を一緒にしなきゃいけないみたい。

そのため80kVのときはX線を少し長めに出して線量を調整しているよ。

③ 分割(split filter)方式 とは

特殊なフィルタを用いて140kV成分と80kV成分に頭尾方向に分割して2画像を得る方式です。

分割(split filter)方式 のメリット

コストが安い

特殊なフィルタっていうのが難しすぎてわかんないけど、

フィルタをはさむだけだからコストが安く抑えられます。

従来型のCTでも取り付けられるとかなんとか…

分割(split filter)方式 のデメリット

エネルギー分離が悪い

フィルタ使って無理やり分離してるだけだから、まぁそうだよね

・140kVと80kV間で電流値を変えられない

これもまぁ理解できる

④ 連続2回転(sequential scan)方式 とは

連続2回転方式とは、140kVで1回転撮影した後に80kVに切り替えてもう1回転撮影する方式です。

CanonのAquilion ONEがコレだよ

連続2回転(sequential scan)方式 のメリット

エネルギー分離がいい

・140kVと80kVのときで管電流を変えられる

完全に電圧を切り替えているからだね♪

連続2回転(sequential scan)方式 のデメリット

・140kVと80kVで時間差が生じる

被ばくが増える

⑤ 2層検出器(dual layer detector)方式 とは

Dual energy CT入門③ – ゆるゆる独学 (hatenablog.jp)

検出器2層となっており、単一のX線を出したときに低エネルギー成分を検出するシンチレータと高エネルギー成分を検出するシンチレータで読み取ります。

2層検出器(dual layer detector)方式 のメリット

空間的、時間的に画像が一致する

投影データのズレがない

2層検出器(dual layer detector)方式 のデメリット

エネルギー分離が悪い

コストが高い

・80kVと140kVのときで電流を変更できない

散乱線によるアーチファクトが生じる

1層目の検出器を通過するときに大量の散乱線が生じて

2層目の検出器に影響を与えてしまうからだよ

まとめ

今日はDual Energy CTの撮影方式5つについて解説しました。

もし今後導入する際の参考になればと思います。

ではでは、また明日~♪

コメント

タイトルとURLをコピーしました