CT検査後に表示されるdose reportとは
CT検査を行ったあとはどの装置もDose Reportというものが作成され、これにより患者がどれくらい被ばくしたのかわかるようになっています。
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特に大事なのがDLPです。DLPはCTDIvolから求められます。
ここでおさえておきたい事実は、CTDIは照射線量であるということと、この数値は患者の実際の被ばくではないということです。
照射線量なため単位はmGyです。(DLPはmGy・cm)
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CTDIの単位がmGyというのは国試でも出たことあるよ!
CTDIvol
まずCTDIvolについてです。Dose reportでのCTDIvolは平均値(装置によっては最小値)が記載されています。
Dose reportに記載してあるCTDIvolは実際の値ではなく、この体厚でこのピッチならこの数値!というデータ上の数値となります。
実際のCTDIvolを求めるためには以下のような円柱ファントム(直径32cmと16cm)を用いて中央と周辺4つの穴に線量計をズボッと差し込んで測る必要があります。
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CTDIvolの測定方法
①まずCTDIwを求める(国試頻出!)
実際のCTDIvolの求め方ですが、まずCTDIwという重み付けCTDIというものを求めます。
これは円柱ファントムの中央の測定値をCTDIc、周辺4つの測定値の平均をCTDIpとすると、以下の式で求められます。
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CTDIw=1/3 CTDIc + 2/3 CDTIp
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この数値も国試で頻出だよ
②求めたCTDIwにピッチファクターを除す
CTDIwをそのまま使いたいところですが、線量はピッチファクターに依存するためピッチファクターで除して1点が吸収する線量を求める必要があります。
CTDIvol=CTDIw/PF
ちょっと難しいためわかりやすく例を挙げます。
通常、CT検査をするときは少しずつスキャンを重ねて管球を回転させています。専門的に言うとオーバーラップさせているということです。
仮にピッチファクター(ビームピッチ)が0.5(=1/2)とすると、体軸上1点が受ける線量はオーバーラップした照射により2倍となります。したがってCTDIwをピッチファクター1/2で除することにより1スキャンで受ける線量の2倍となり、実際に受ける線量が評価できます。
余談ですが、ピッチファクターは以下の式で求められます。
PF(ピッチファクター、ビームピッチ)=寝台移動距離/ビーム幅
実際のCT検査ではピッチファクターを自身で選ぶ(もしくは予めプリセットされている)ことになります。
DLP
CTDIvolがわかればDLPは簡単です。
CTDIvolに撮影距離をかけましょう。
DLP=CTDIvol×撮影距離
撮影距離はかっこよく「Scan Length」とよく言います。
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これで患者へのトータル照射線量がわかったからめでたしめでたし♪
というわけにはいきません。患者にとって大事なのはどれだけ照射されたかではなく、どれだけ被ばくしたかということです。
照射線量と被ばく線量は違います。照射線量はその名の通り装置からX線が出た線量ですが、被ばく線量(≒実効線量)はどれだけ体内にX線を吸収したかです。
実効線量
実際に患者が被ばくした線量を求めるためにはモンテカルロ法を用いてシミュレーションを行う方法や、人型ファントムに線量計を埋め込んで各臓器の線量を測定する方法などがありますが、煩雑なため臨床で使用するのは容易ではありません。
そこで先ほどのDLPに部位ごとの変換係数を掛けることで、実効線量の概算値を算出します。
さらに赤ちゃんや子どもは放射線感受性が高いため、年齢も考慮に入れます。まとめたのが以下の表です。
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実効線量(mSv)=DLP×換算係数
計算して実効線量を求めよう!
では実際に計算してみましょう。
大人の腹部CTを撮影したDose reportが以下だったとします。
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DLPは121.14mGy・cmと記載されています。
腹部撮影なので換算係数は上の表により0.015です。
つまり、この患者の実効線量は121.14×0.015=1.8171(mSv)となります。
患者に「この検査で私はどのくらい被ばくしましたか?」と聞かれたさいは「1.8mSvです」と答えましょう。
まとめ
今日はCT検査における患者の被ばく線量について解説しました。
患者の被ばくを求めたければDose ReportのDLPに換算係数をかけましょう!
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ではでは、また明日~♪
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