造影剤減量時の注入条件ってどうする?~TECを考えよう!~

CTを学ぶ

TECとは(復習)

まずTECの復習をしましょう!

造影CT検査の例(eGFR正常な場合)

この場合の造影剤注入条件を考えましょう。

例)

60kg男性

胆のう病変をみるために造影CTを施行

ヨード量は施設によるが今回は450mgI/kgで計算

造影剤シリンジは「300注シリンジ100ml」を使用

イオパミドール300注シリンジ100mL「FF」 | 日医工株式会社 (nichiiko.co.jp)

1.ヨード量を決定する

450mgI/kgのヨード量が必要なので60kgだと450(mgI/kg)×60(kg)=27000(mgI)のヨード量が必要です。

2.造影剤量を決定する

今回「300注シリンジ100ml」の造影剤シリンジを使用するため、

先ほど求めたヨード量からヨード密度を割ります。

27000(mgI)÷300(mgI/ml)=90(ml)

3.撮影方法、注入時間を決定する

胆のう病変をみる際はDynamic撮影をし、基本的に造影剤を30秒注入します。

4.注入速度を決定する

注入量と注入時間が決まったので注入速度を決定させます。

90(ml)÷30(s)=3.0(ml/s)

注入条件が決まった

今回は3.0ml/sの速度で90ml注入することが決定しました。

1~4をまとめて式にすると、下記のようになります。

根本杏林堂 ITEM2019 ブースレポート デュアルタイプのインジェクタ3製品を中心に展示し,近年注目されている造影検査法の注入プロトコールなどを提案 (innervision.co.jp)

しかし、最近では造影剤注入時に使用するインジェクタの端末で、体重を入力したら自動計算してくれるものもあるので、臨床現場でいちいち計算することはなくなりました。いい時代になったものです。

造影CT検査の例(造影剤量を減量する場合)

今から本番です。今度は先ほどと同じ条件でeGFRが悪い場合をみてみましょう。

例)

60kg男性、eGFR=38

胆のう病変をみるために造影CTを施行(依頼医より造影剤2割減の支持あり)

ヨード量は施設によるが今回は450mgI/kgで計算

造影剤シリンジは「300注シリンジ100ml」を使用

イオパミドール300注シリンジ100mL「FF」 | 日医工株式会社 (nichiiko.co.jp)

造影剤減量の支持があるため、それに従います。

1.注入量の決定

通常なら90mlを注入しますが2割減の支持があるため、90×0.8=72(ml)を注入することになります。

2.注入速度の決定

ここが肝心です!

結論からいうと、注入速度は正常のときと同じ3.0ml/sにします。30秒注入にしません。理由は後述します。

注入条件決定

注入速度3.0ml/s72ml注入することになりました

なぜ2割減で注入速度を変えないのか

TECを構成する因子は6つあります。

0      造影剤を注入してCT値が上昇し始めた時間

傾きa     CT値が急速に上がっていくときの速さ

max     CT値が最も高くなる時間

MAX CT値   最も高くなるCT値

|t|     最大CT値の80%以上を維持する時間

平衡相CT値  平衡相となったときのCT値

詳細は過去記事をご覧ください。

造影剤量を2割減するとはいえ、できるかぎりCT値を下げたくありません

TECに関係ある因子は平衡相CT値MAX CT値です。平衡相CT値はヨード総量に依存するため、通常時と比べて下がってしまうのは致し方ないですが、MAX CT値は単位時間あたりのヨード量に依存するため、調整が可能です。

今回は通常時も2割減時も同じ条件のシリンジ(300注シリンジ100ml)を使用しているため、時間あたりのヨード量は注入速度と同意義をなります。

そのため単位時間あたりのヨード量を正常時と同じにするために、速度を変えないのです。

MAX CT値を同じにしたい → 

単位時間あたりのヨード量を同じにしたい → 

シリンジ同じだから注入速度を同じにしよう

まとめ

今日は通常の造影剤注入条件の決め方と、減量する際の決め方について解説しました。

減量時は、「注入量は〇割減で計算するが、注入速度は通常と同様に」が鉄則になります。

ではでは、また明日~♪

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