TECとは(復習)
![](https://radi-niru.com/wp-content/uploads/2022/07/POINT2.png)
まずTECの復習をしましょう!
造影CT検査の例(eGFR正常な場合)
この場合の造影剤注入条件を考えましょう。
例)
60kg男性
胆のう病変をみるために造影CTを施行
ヨード量は施設によるが今回は450mgI/kgで計算
造影剤シリンジは「300注シリンジ100ml」を使用
![](https://radi-niru.com/wp-content/uploads/2022/08/image-89.png)
1.ヨード量を決定する
450mgI/kgのヨード量が必要なので60kgだと450(mgI/kg)×60(kg)=27000(mgI)のヨード量が必要です。
2.造影剤量を決定する
今回「300注シリンジ100ml」の造影剤シリンジを使用するため、
先ほど求めたヨード量からヨード密度を割ります。
27000(mgI)÷300(mgI/ml)=90(ml)
3.撮影方法、注入時間を決定する
胆のう病変をみる際はDynamic撮影をし、基本的に造影剤を30秒注入します。
4.注入速度を決定する
注入量と注入時間が決まったので注入速度を決定させます。
90(ml)÷30(s)=3.0(ml/s)
注入条件が決まった
今回は3.0ml/sの速度で90ml注入することが決定しました。
1~4をまとめて式にすると、下記のようになります。
![](https://radi-niru.com/wp-content/uploads/2022/08/image-90-1024x143.png)
![](https://radi-niru.com/wp-content/uploads/2022/08/image-90.jpg)
しかし、最近では造影剤注入時に使用するインジェクタの端末で、体重を入力したら自動計算してくれるものもあるので、臨床現場でいちいち計算することはなくなりました。いい時代になったものです。
造影CT検査の例(造影剤量を減量する場合)
今から本番です。今度は先ほどと同じ条件でeGFRが悪い場合をみてみましょう。
例)
60kg男性、eGFR=38
胆のう病変をみるために造影CTを施行(依頼医より造影剤2割減の支持あり)
ヨード量は施設によるが今回は450mgI/kgで計算
造影剤シリンジは「300注シリンジ100ml」を使用
![](https://radi-niru.com/wp-content/uploads/2022/08/image-89.png)
造影剤減量の支持があるため、それに従います。
1.注入量の決定
![](https://radi-niru.com/wp-content/uploads/2022/08/image-90-1024x143.png)
通常なら90mlを注入しますが2割減の支持があるため、90×0.8=72(ml)を注入することになります。
2.注入速度の決定
ここが肝心です!
結論からいうと、注入速度は正常のときと同じ3.0ml/sにします。30秒注入にしません。理由は後述します。
注入条件決定
注入速度3.0ml/sで72ml注入することになりました
なぜ2割減で注入速度を変えないのか
TECを構成する因子は6つあります。
t0 造影剤を注入してCT値が上昇し始めた時間
傾きa CT値が急速に上がっていくときの速さ
tmax CT値が最も高くなる時間
MAX CT値 最も高くなるCT値
|t| 最大CT値の80%以上を維持する時間
平衡相CT値 平衡相となったときのCT値
詳細は過去記事をご覧ください。
造影剤量を2割減するとはいえ、できるかぎりCT値を下げたくありません。
TECに関係ある因子は平衡相CT値とMAX CT値です。平衡相CT値はヨード総量に依存するため、通常時と比べて下がってしまうのは致し方ないですが、MAX CT値は単位時間あたりのヨード量に依存するため、調整が可能です。
今回は通常時も2割減時も同じ条件のシリンジ(300注シリンジ100ml)を使用しているため、時間あたりのヨード量は注入速度と同意義をなります。
そのため単位時間あたりのヨード量を正常時と同じにするために、速度を変えないのです。
MAX CT値を同じにしたい →
単位時間あたりのヨード量を同じにしたい →
シリンジ同じだから注入速度を同じにしよう
まとめ
今日は通常の造影剤注入条件の決め方と、減量する際の決め方について解説しました。
減量時は、「注入量は〇割減で計算するが、注入速度は通常と同様に」が鉄則になります。
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ではでは、また明日~♪
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